北海道・夏家族旅行、4日目。今日の予定は登山。とは言っても関東平野在住なんで、大した山には行ったことがない。筑波山3回と他数箇所くらい。北海道はニセコアンヌプリは登ったな、って程度の、ばりばり初心者。
往復5時間をMaxでコースを検討した。候補は上富良野岳。でも「中級」って書いてある。さぁどうしよう?
迷うことはないから大丈夫でしょう、とフロントの人は言った
往復5時間・・何とか行けそうな気はするけどな〜。でも普段とりたてて鍛えるための運動はしてないし・・・。4時間弱なら体験あるけど・・・とぶつぶつ言ってても仕方ない。
意を決して登山口へと向かう。途中山からでてきてキタキツネくんも、頑張ってね、って見送ってくれた。
十勝岳温泉登山口から少し歩いたところで、 火山の山肌むきだしの谷にでてしまい、早速どっちに行っていいのか不安になる 。多分あってるとは思うんだけどな。後方からきたおじさんの、申し訳ないけど足を止めさせて、どっちですか?よかった、合ってた。
この先の道も丁寧に教えてもらった。でも一番耳に残ったのは「階段きついよ~」のひとこと。
いや大丈夫、階段は私、得意なはず。普段エスカレーターやエレベーターは使わへんし。東京駅の京葉線からの乗り継ぎ、エスカレーターいつも駆け上っているもんね、だから大丈夫、だと思いたい~。
石がごつごつで足場は悪い。階段も先をみたらくじける~
その谷を無事抜けて、 「上ホロ分岐」へ。ここで右へ行けば「富良野岳」、左へ行けば「上富良野岳」というわけ。おじさんは上富良野岳からさらにホロカメットク山、十勝岳へと向かうようだ。
なかなか踏みしめがいのある、ゴロゴロ山道を黙々と進む。暑い、日差しもばっちりだ。ヤバイな、もっとしっかり日焼け止め塗ってくるんだった。
そうこう言ってるうちに、ちょいちょい階段が出現。なんだこの程度か、なんて余裕かましてたら、いつのまにかいつ終わるとも知れない階段へと移り変わっている。
いくら見上げても階段しか見えない。
でもここで、どこで終わるとも知れない苦行に悩むより、目の前の一段一段の階段をしっかりとみて、ひとつずつ踏みしめていく。そのほうがいい。この一段一段の積み重ねが頂上になるんだから。
そう思うと体がスーッと楽になった。人生と一緒やね。今を生きるってやつ。目の前のことにひとつひとつ丁寧に向き合う。
一瞬一瞬の積み重ねが人生。
一段一段、頂上に近づいていくんだ。
そこそこ見晴らしのいい場所についても、そこで妥協するな
やっと視界が開けてきた尾根の途中でしばし休憩。まわりもぐるっと見えて景色も良いし、下りなきゃいけないことを考えたら、もうこの辺まででいいんじゃない?という投げ出し感が4人に漂う。
もういっか~ここまでにする? 疲れたよね~、でも多分あそこに見えてるとこが頂上だからもう少しだと思うんだけどなー。
ブツブツ言ってる下山ムードな4人の前に、おじさんが出現。後方から追いついてきたんだ。「もうすぐだよ、一時間くらいかな」と言いながら、私達を追い越して行った。おじさんベースは結構ゆっくりそうだけど、最後まで歩き続けるのは当然って顔してる。
ゆっくりでもマイペースを守って最後まで続けること、諦めないこと、うん、それ大事。冷静に判断、まだ余力はある。本当にもうダメってところまで頑張ったわけじゃない。
「そっか~、しゃ~ない、やっぱり行こうよ。もうすぐもうすぐ。」と、自分と子供たちを 奮い立たせて、いざ出発。
頑張らなきゃみることのできない景色だから素晴らしい
つきました、つきましたよ。1時間もかからなかった。
私たち上りは結構得意なんだよね!?参考までにタイムは、途中結構休憩をとりつつきて、2時間10分。ちょうど正午に到着。
富良野盆地に向かって、左手に富良野岳、右手には上ホロカメットク山から十勝岳がみえる。
気持ちい~い、やっぱり頑張って頂上まで来てよかったね!
登山初心者の私たちにはここで十分すぎるほど十分だけど、大体この上富良野岳山頂でゆっくりしている人はあんまりない。 富良野岳へ向かう人、十勝岳へ向かう人が通過点とするところ。
おかげで私達は山頂を独占。
ヨガティーチャーのかなしい性か?高いところにくると、無意識にこのポーズをしてしまう。本人は多分山そのものになりきってるんでしょうね。周りからみたら単なるあほやけどね(笑)にしても足場段差ありすぎやわ。
栄養補給して十分休んで 45分後には出発、帰路につく。
でもあの石のゴツゴツした足場の悪い道や、あの階段を今度は下りていくのだと思うと、頭がクラクラする。結構急だったよな~。
だいたい下山はすごい苦手なんだ。足がおかしくなるのは下山があるせい。足が痛くならないといいんだけど。
おっと、まだ起こっていない将来のことを心配するのはやめよう。とにかくこけて怪我しないように一歩一歩しっかり下りていくだけ。
つらいものはやっぱりつらい、でも楽しい
いやーそれにしても下りはかなりきつい。 ほとんど限界かと思うくらい足が疲れているせいか、 帰り道は本当に長く感じる。
あーでも私たち、こんな道をちゃんと頂上まで登ったんだ。すごいわ、結構偉くない?
この道を頂上を目指して必死に頑張っていた時の自分を大いに褒める。
こういう感覚、きっと日常でも大事。自分のことダメだとか、つまんない人生だとか、仕事や親子関係がうまくいかないとか、 いろいろ悩んでる毎日かもしれない。
でも今まで自分がしてきたこと、それをいい意味で振り返ってちゃんとみてみると、意外に自分が頑張ってたことに気づいたり、自分の良さに改めて感心することもあるんじゃないかな~。たまには自分を褒めようね!
下山中は何度もぬかされた。チリンチリンという鈴の音が爽快に響いてくる。後ろを振り向くと 全く疲れた様子もない華奢な女性がどんどん距離を縮めてくるのだ。
一人での登山者が意外に多くてオドロキ。登山上級者のお散歩コースなんだろうか?
午後3時過ぎには無事に登山口に到着。ほとんど休憩なしでぶった切ったけれど、2時間20分くらいかかっている。初心者は下山が苦手?
10時前に出発して3時過ぎに到着。トータルではガイドブック通りの約5時間。
ま~疲れました。でもなかなか味わうことのできない充実感達成感。家族みんなで成し遂げた連帯感。
こんな疲れは本当に心地いい。
有名な「青い池」に寄り道する気力もでないほどやり切った
そんな満足感にひたってる間もなく、今日の宿泊地へ向けて出発。 旭岳温泉へ。たった70キロ程度、ね。すぐ着くね。
北海道を数日運転すると、距離感覚が無茶苦茶変わる。東京都心含む70キロなんて絶対運転したくないもんね。
明日はできれば旭岳に登山、と思っていたけれど、はっきり言って無理。明日の分の体力なんて残っていない。
スラムダンクの最終話の試合の後みたいな感じ?次の試合に臨んでもきっとボロボロになるだけやんね(笑)
とにかく最後の力を振り絞って運転する。途中、山道で車が列をなしている光景に合った。なんで?あ、「青い池」ね。そういえばガイドブック見たときは、寄ろうと思ってたんだった。
今日は天気も良いしきっと綺麗だろうな~。でも反対車線に移って並んでまで見に行く気力がもはやゼロ。
縁があったらいつか見に来ることができるよね。ちょっと心残りではあるけれど素直に通過。
私たちが求めるのは、簡単に手に入る素敵なプレゼントじゃない。
自分が努力して苦労して、そこでやっと初めて出会うことのできる感動だ。
今日は上富良野岳からの眺め以上に心揺さぶられるものに出会える気はしない。
なんてかっこよく言ってみたけど、ま、結局、疲れ切ってるだけやん。はやく宿に着きた~い!
今日も無事に過ごせたことに感謝!
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